読書を仕事に結びつけるには?

私はノンフィクションものが好きです。最近は、出口さんに影響され歴史本を読む頻度が高くなりました。確かに、学ぶところも多く、例えば戦国時代の武士たちの家族間の殺し合いなどを見ていると、嫉妬や日本人の血統に対する考え方が凝縮されているのがわかり、自分がファミリー企業に勤めているのでとても腑に落ちました。

一方、仕事で気になることもありますので、ビジネス書も読みます。ビジネス書の効果は短期的、教養書の効果は長期的と徐々にわかってきました。参考にはなりますが、腑に落ちる打率はとても少ないです。この点で出口さんが古典や教養書はビジネス書に勝る、ということをおっしゃられているので心強く思います。ただ、好きなノンフィクションばかり読んでいると少々後ろめたい気もしてくるのです……(苦笑)。

そこで、出口さんに2つ質問があります。

ひとつは、古典や教養書、ノンフィクションからのアイデアをどう仕事に結びつけるかということです。読書→仕事への思考過程について経験談やアドバイスをいただきたいです。

もうひとつ、古典や教養書推しの出口さんがあえてオススメするビジネス書がありましたらお願いいたします。

masa
38歳 会社員 男性

楽しい時間が過ごせれば十分

まず「本からのアイデアをどう仕事に結びつけるか」ということについては、そんなしょうもないことは考えないほうがいいと思います。面白い小説やノンフィクションを読んで、楽しい時間を過ごせれば、それで十分です。

たくさん面白い本を読んでいる中で、あるときにひょっとして「ビジネスに関係するアイデアが閃けばもうけもん」ぐらいに考えておくべきですし、「ビジネスに役立てよう、アイデアを得よう」と思って本を読み、それで立派なアイデアが得られた試しはない、というのが世界の常識だと思います。

好きな本を徹底して読み、楽しんでいい時間が過ごせればそれで十分。たまたまビジネスに閃きが得られたらラッキーと、それぐらいに考えておくほうが、かえっていいアイデアが得られるというもの。

僕は古典を推していますが、最近の本で特にお薦めするのは小坂井敏晶先生の『社会心理学講義』(筑摩選書)です。これは、この数年間で出されたビジネス書の中でも断トツの本だと思います。

小坂井先生のこの本は、社会に対する洞察に満ち溢れた素晴らしい本で、ビジネスのあらゆる根源は、人間を理解すること、人間がつくる社会を理解することにあると教えてくれます。なぜなら、ビジネスは人間と人間が作った社会を相手にするものだからです。