経営者に必要なことは?

出口さんはじめまして。私は2018年春の就職に向けて就職活動をしている大学生です。

私の質問は「経営者として学ぶべきこととは?」です。

私の将来の目標は地域のリソースを活かしてブランディングし、魅力ある地域を作ることです。そのためには、事業を興せる経営者としての目線で働くことが必要だと考え、事業会社の総合職に絞って企業を選んでいます。

しかし、経営者としての生き方に興味を持ったのがつい最近で、しかも地球惑星科学専攻で経済・経営の勉強など一切したことのない私には、まず何を勉強するべきなのか、検討がつきません。

出口さんの考える「経営」とはどのようなものでしょうか? また、それを実践するために必要な知識・スキルは、どのように身につけられましたか?

北海道のクマさん
24歳 大学生 男性

経営書よりも「人・本・旅」

世の中には、経営者に必要な資質や条件について書かれた本は星の数ほどあります。ビジネス書の大半がそうであると言っても過言ではありません。しかし、実をいうと僕はほとんど読んだことがないのです。手には取るのですが、最初の10ページを読んで面白くないので、読まずに置いています。

人間はひとりでは何もできませんから、経営とは要は「人を使うこと」。人に喜んで働いてもらうということです。

そのためにはまず、人間とはどんな生き物なのか、人間が作る社会とはどんなものなのかを知らなければ、いくら経営者のテクニックや技術論を学んだところで、そんな知識はあまり役には立たないと思うからです。

あなたはまだ学生ですので、経営者を目指すのであれば、まずたくさんの人に会い、たくさんの本を読み、たくさんいろんな所に旅をして、「人、本、旅」で人間とその社会を探求してください。

その中で、どうやれば人が喜んでついてくるのかなどを学べばいい。むしろ経営書ではなく、文学や歴史上の人物の伝記などの中から多くのことが学べるという事実に、自然と気がつくと思います。

あなたが地球惑星科学専攻だということは、とても素晴らしいことだと思います。世界のグローバルな経営者は、もちろんMBAや経済学などの資格を持っていますが、それとは別にダブルマスター、ダブルドクターということで、宇宙論や文学、歴史や哲学といった資格を持つ人が大半です。ですから、あなたがこれまで「経済、経営の勉強など一切したことがない」というのは、むしろメリットだと考えてもいいと思います。

自分の興味のある分野から「人、本、旅」でいろんな勉強をして、まず人間や人間が作る社会についての洞察力を身につけてください。まだ24歳ですから、好きなことに熱中すればいいと思います。経営学を勉強しようと思えば、たとえば30歳ぐらいになってからMBAに行く、という手もあります。それで遅すぎるということは決してありません。