『老子』について教えてください

出口さんは、中国古典のおすすめとして『貞観政要』『韓非子』『史記列伝』などを挙げられていますが、『老子』はどう思いますか?

『貞観政要』や『韓非子』は読んでみて何となく意味が理解できますが、『老子』は抽象的でどういうことを言いたいのか私には難しく、読んでいても腑に落ちません。出口さんおすすめの『老子』に関する本があればご教示ください。

しろくま
37歳 会社員 男性

老荘思想はインテリ向けの思想

老子と荘子をまとめて、老荘思想と言います。

老荘思想は中国古代の実存主義だと言う人もいますが、基本的にはインテリ向けの思想だと思います。

中国はわかりやすく言えば、政治は法家が行います。広大な国土なので「法律をきちんと整備して治めなければ、とてももたない」というベーシックな考えがあり、さらに法律を守るだけでは人々の心に訴えかけるものがないので、家族を治め、周囲を治め、国を治めようという「儒家の思想」が建前として生きてきたのだと思います。

しかし、こうした生真面目な話のみでは、特にインテリ階級のように少しひねくれた、あるいは斜にかまえた人にとっては、あまりにも真っ当すぎて面白くない。

そこで、老荘思想のように実存主義的な一歩世の中から距離を置いて高いところや遠いところから世間を見るような思想が生まれてきた、というのが大きな流れだと思います。このことによって中国の社会は安定してきたのです。

『老子』に関する本ですが、解説書としては岩波の書物誕生シリーズ『老子』(神塚淑子)が、いちばんだと思います。このあとで『老子』(蜂屋邦夫訳注、岩波文庫)を読むことをオススメします。